水道・水質ミニ事典

更新日:2021年03月01日

 「安全でおいしい水の確保」はみんなの願いです。
 かつて、大阪広域水道企業団の水源である琵琶湖や淀川の水質の影響などにより、「大阪の水はまずい」と言われ続けてきました。
 このため大阪広域水道企業団では、昭和57年から当時の大阪府水道部において高度浄水処理の調査検討を続け、高度浄水施設の整備を進めてきました。
 そして、平成10年7月22日からは、すべての浄水場(村野、庭窪、三島)から高度浄水処理水をお届けしています。
 なお、通水後の高度浄水処理能力は全国最大規模となっています。

高度浄水処理水について

高度浄水処理の効果

 高度浄水処理は、現在考えられる汚染物質に対して、従来の浄水処理より格段に優れた除去効果を発揮し、安全でよりおいしく、安心して飲める水道水をつくることができます。

  • かび臭をほぼ完全に除去
  • トリハロメタンの大幅な低減
  • トリハロメタン以外の有害物質の大幅な低減
  • クリプトスポリジウムなどの感染微生物に対してもさらに安全性を確保
  • 農薬などの微量化学物質をはじめ、ほとんどすべての物質の低減に効果
  • カルキ臭がほとんど取れる

通常処理と高度浄水処理の違い

 高度浄水処理は従来の通常処理に、生物処理(注釈)・オゾン処理・粒状活性炭処理を加えたものです。(注釈:生物処理は、庭窪、三島浄水場で実施)

上段に通常処理、下段に高度浄水処理を示したフロー図
高度浄水処理詳細
生物処理とは オゾン処理とは 粒状活性炭処理とは
 自然の川底で見られるような、微生物による水の浄化作用を利用したものです。
 処理槽内の担体に付着した微生物により、水の中の汚れを分解します。担体には、三島浄水場ではハチの巣型のハニコームチューブを、庭窪浄水場ではポリエステル製の繊維担体を使用しています。
 特にアンモニア態窒素は80%も低減されます。(生物処理は三島浄水場、庭窪浄水場において稼動)
 オゾンは空気中の酸素からつくった気体で、強い殺菌力を持っています。そのため水中のかび臭などを分解する事ができます。また、水中のマンガンの酸化や水の消毒にも役立ちます。
 粒状活性炭処理と組み合わせることで、かび臭はほぼ完全に取り除き、トリハロメタンも大幅に低減されます。
 さらに、寄生原虫のクリプトスポリジウムに対してもオゾンの強い酸化力による分解能力で、現在の凝集沈澱と急速ろ過(砂ろ過処理)に加え、より安全性が高められます。
 粒状活性炭は一粒一粒ほぼ砂に等しい大きさですが、目に見えない小さな穴が無数に空いています。(1グラム当たり1,000平方メートルもの内部表面積)
 水の中に溶け込んでいる臭いの原因となる有機物質やトリハロメタンの原因となる物質などは、この穴の中に取り込まれ除去されます。
生物処理(三島浄水場の例)、オゾン処理、粒状活性炭処理の説明図

左:生物処理(三島浄水場の例) 中央:オゾン処理 右:粒状活性炭処理

高度浄水処理水の水質(村野浄水場水質試験結果)

高度浄水処理水の水質一覧
  水質基準等 以前の水道水(注釈1)
淀川原水
以前の水道水(注釈1)浄水 高度浄水処理水(注釈2)
淀川原水
高度浄水処理水(注釈2)
浄水
かび臭物質 2-MIB [1リットルあたりのナノグラム数](注釈3) 10以下 120 42 24 検出せず
ジェオスミン
[1リットルあたりのナノグラム数]
10以下 35 6 14 検出せず
過マンガン酸カリウム消費量 [1リットルあたりのミリグラム数] 3以下 6.9 1.7 6.7 1.1
総トリハロメタン生成能 [1リットルあたりのミリグラム数] - 0.043 0.028 0.042 0.013
  • (注釈1) 平成9年度の平均値。ただし、かび臭物質は平成6年度の最高値。
  • (注釈2) 平成30年度の平均値。ただし、かび臭物質は最高値。
  • (注釈3) 1リットルあたりのナノグラム数 :1リットルあたりのミリグラム数の100万分の1の濃度

バイバイ、かび臭い水

大阪の水はまずい?

 かつてはよく「大阪の水はまずい」と言われました。その主な原因は、夏の前後に発生する「かび臭」でした。

かび臭の原因は?

 かび臭の原因は、富栄養化によって異常繁殖する琵琶湖のプランクトンです。プランクトンがかび臭物質を体内で作るのです。
 琵琶湖で発生するかび臭物質には、2-MIBとジェオスミンという二つの物質があります。
 かび臭物質は、水1リットルにわずか1億分の1グラム程度(50メートルプールに耳かき1杯程度)含まれただけで、かび臭い臭味をつけてしまいます。

かび臭の原因となるプランクトン

細長い茶色の棒状をしたプランクトンを100マイクロメートルサイズの目盛りで表した顕微鏡の写真

オッシラトリア(2-MIBをつくる)

中央が透明な細長い棒状のプランクトンを50マイクロメートルサイズの目盛りで表した顕微鏡の写真

フォルミディウム(2-MIBをつくる)

茶色の丸い点状が横一列に並んだ棒状のプランクトンを100マイクロメートルサイズの目盛りで表した顕微鏡の写真

アナベナ(ジェオスミンをつくる)

1マイクロメートル=千分の1ミリメートル

かび臭物質の除去

 平成10年7月に高度浄水施設が稼働する以前は、琵琶湖でかび臭物質が発生すると、原水中のかび臭物質の一部が浄水場の処理でも除去しきれずに、浄水がかび臭くなることがありました。
 しかし、高度浄水施設ではオゾン処理によってかび臭物質を強力に分解し、さらに粒状活性炭処理によってほぼ完全に吸着除去できるようになりました。

高度浄水施設のちから

 平成17年8月下旬に、村野浄水場の原水において、ジェオスミンが1リットルあたり120ナノグラムの濃度で検出されました。
 しかし村野、庭窪、三島のすべての浄水場では、高度浄水施設によって原水中のかび臭物質を完全に分解除去することができたので、浄水にジェオスミンが検出されることは全くありませんでした。

村野浄水場、庭窪浄水場、三島浄水場のジェオスミン濃度の棒グラフ

高度浄水施設でのかび臭物質の除去

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